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健康保険組合:第三者行為事案の求償について
Q(役員の質問、悩み)
健保組合の役員を務めています。当組合の被保険者の方が、交通事故の被害に遭い、その治療において健康保険を使用していますが、健保組合負担分が累積しています。いわゆる「第三者行為」の事案ですので、加害者本人または加害者の保険会社へ求償したいのですが、被保険者の方と加害者との間で事故の過失割合について争いがあるようで、求償が滞っています。また、当組合は、事故の当事者ではないので、示談交渉の状況がわかりにくく、困っています。どのようにしたらよいでしょうか。
A(弁護士の回答)
まずは、積極的な情報収集に務めましょう。被保険者の方には、第三者行為の届出書と念書を出してもらって、定期的に、被保険者本人あるいは弁護士が就いていればその弁護士に、電話または書面により照会をかけて、求償や示談交渉に必要な情報(加害者本人の住所、氏名およびその保険会社名、担当者名、連絡先、事故状況、事故当事者の言い分、被害者の治療終了あるいは症状固定の見込みなど)を得ることが大事です。
次に、治療が長期に渡って健保組合負担分が嵩んでいるときは一定期間で区切って、あるいは、治療終了・症状固定のタイミングで、速やかに、加害者側の交渉窓口(本人または保険会社担当者)に連絡をして求償を開始する必要があります。
加害者側は、被保険者(被害者)との間で過失割合等に争いがあるという理由で支払を全額留保する可能性がありますが、その場合には、両当事者へ問い合わせを行って、再度詳しく交渉の経過を確認しましょう。被保険者は念書を差し出しており、健保組合は被保険者に対し照会をかける権利がありますので、被保険者にはきちんと情報提供について協力してもらう必要があります。
以上の手続きを踏んでも、求償が滞ってしまう場合には、健保組合として弁護士へ相談する必要があります。被保険者(被害者)が依頼した弁護士は、あくまで被保険者の利益のために動くので、積極的に健保組合のために動いてくれるとは限らず、むしろ、健保組合による求償には関心がないことが多いです。
第三者行為事案の求償にお悩みの健保組合様は、ぜひ一度当事務所までお問い合わせください。
浦和セントラル法律事務所
弁護士 坂根 洋平