Q(社長の質問)
当社は、不動産の売買や賃貸管理を行う会社です。ある入居者(Aさん)の方から、「室内の設備が古いから変更しろ」などと度々クレームの電話やメールを受けていますが、当方が何度説明をしても納得してくれません。管理部門の社員は、Aさんへの対応に疲弊しています。どのように対応すればよいでしょうか。
A(弁護士の回答)
まずは、クレームに至る経緯、クレームの内容について、しっかりと情報収集および分析することが大事です。Aさんに納得してもらうという、Aさんの主観的な納得感を重視すると、Aさんが納得するまで終わりが見えず、延々とやりとりを続けなければならない状況に陥ってしまいます。
もちろん、Aさんの納得感も大事ですが、「法律上のルール」をあてはめて、対応を検討する必要があります。
仮に、Aさんの言い分が、法的にみて根拠のあるもの、たとえばAさんの求めるように設備交換する必要がある場合、あるいは、御社が損害賠償責任を負う可能性がある場合には、Aさんの言い分と正面から向き合って対応する必要があります。これらの場合であっても、延々に対応するのではなく、「対応すべき範囲」を決定の上、その範囲で対応し、過剰な要求には応じないことが大切です。
他方で、Aさんの言い分が全く根拠を欠いていて言いがかりに過ぎないと評価できる場合には、会社としての見解を一度伝えたら、それを変更せず、以後の対応は「従前伝えたとおりです」と事務的に対応するか、状況次第では、そもそも対応する必要もありません。
ポイントは、クレームの内容を「法律上のルール」にあてはめて、対応の要否や、対応方法を決定するということです。この見極めは、ときに難しい場合がありますので、対応に困っている事業者の方は、弁護士へご相談されることをお勧めします。
浦和セントラル法律事務所
弁護士 坂根 洋平