Author Archive

Q&A:ネットにある契約書の雛形でよいか

2023-07-12

Q(社長の質問)

設立したばかりの会社ですが、仕事を引き受ける際や、下請けに仕事を出す際に契約をする機会が多くなりましたが、契約書を作成していません。これから急いで作りたいのですが、インターネットに掲載されている雛形を使おうと思っています。それで問題ないでしょうか。

A(弁護士の回答)

インターネット上に掲載された契約書の雛形をそのままご利用されている企業様もしばしばいらっしゃいますが、実際に法律相談をお受けする際に、その契約書を確認させていただくと、実際の取引の態様と全く合致していない条項や、文言を文理に沿って解釈しても意味がとれない、あるいは、意味がとりづらい表現になっていることなどが多々あります。

契約書は、これから行おうとする取引の実態に添うように、かつ、自社にとって利益となる条項を契約書に加筆し、他方で、自社にとって不利益となる条項に細心の注意を払う(必要に応じて添削する)必要がありますので、設立したばかりの会社であっても(設立したばかりであるからこそ)重要な取引を行うのであれば、雛形をそのまま使用するのではなく、オーダーメイドで契約書を作成した方がよいといえます。

基本となる契約書をしっかりと作成しておけば、以後同様の取引をする際にアレンジを加えればよいだけになりますので、弁護士費用との関係でも、費用対効果に優れているとお考えいただける場合がほとんどであると思います。

浦和セントラル法律事務所
弁護士 坂根 洋平

Q&A:管理職であれば残業代支払は不要か

2023-07-03

Q(社長の質問)

飲食店を3店舗経営しています。各店舗の店長は管理職なので残業代を支払わなくてもいいでしょうか。

A(弁護士の回答)

店長あるいは何らかの役職を付与しているという理由だけで、直ちに、残業代を支払わなくてよいということにはなりません。労働基準法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)に当たる場合に限って、残業代を支払う必要がなくなります。

ここでいう「管理監督者」とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、これに該当するかどうかは、役職の名称にとらわれず、職務内容、責任・権限、勤務態様等の実態や、賃金等の待遇面にも留意して判断すべきものとされています。

実際の裁判例では、管理監督者の範囲は厳しく限定的に解されていますので、店長あるいは社内で管理職扱いをしているという理由だけで安易に残業代を支払わないでいると、後になってその従業員から多額の残業代を請求される可能性もありますので、要注意です。

管理職者の残業代についてお悩みの経営者様は、弁護士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

浦和セントラル法律事務所
弁護士 坂根 洋平

お知らせ:「顧問契約トライアル」について

2023-06-23

顧問契約のプランに関するお知らせです。

本ホームページ公開以降、スタートアップ段階の企業様や、個人事業主様からのご相談をいただく機会が増加しており、顧問契約にご関心のある企業様や個人事業主様が非常に多いと感じております。

他方で、実際にご相談をお受けしていると、どのようなリーガルサービスを受けられるのか契約書のリーガルチェックとはどのようなものか質問に対しわかりやすく回答・説明してもらえるのかなどのサービス面に関する疑問、不安や、どこまでの相談が顧問料の範囲内か個別に料金が発生する場合とは具体的にどのようなときかといった料金面に関する疑問、不安を感じる方が多いというのも実情です。

これまで当事務所では、経営者様にとって依頼前と依頼後との間にできる限りご認識のズレが生じないように、初回の法律相談を無料でお受けしてきましたが、今後は、初回無料法律相談に加えて、次のとおり、3か月間の顧問契約トライアル期間を設定することとしました。

 月額5万円のご契約(一般法務プラン 対応ボリューム月時間程度 優先対応 電話・メール・WEB相談あり)

 → 初回無料法律相談はじめの3か月間 月額万円

 月額3万円のご契約(法務相談プラン 対応ボリューム月時間程度 優先対応 電話・メール・WEB相談あり) 

 → 初回無料法律相談はじめの3か月間 月額万円

顧問契約トライアル契約は、経営者様と弁護士とのマッチングの期間とお考えいただければと思います。トライアル期間終了後は、経営者様と弁護士でお打合せを実施し、正規の顧問契約締結のご希望の有無等をお伺いさせていただきます。

当事務所に既にご相談いただいた経営者様も、未だご相談いただいていない経営者様も、この機会に、顧問契約トライアルをご検討いただければと思います。

弁護士 坂根 洋平

Q&A:内定通知を取り消してもよいか

2023-06-06

Q(社長の質問)

採用面接を実施した方へ内定通知書を交付したのですが、その後、その方の経歴に虚偽があることが分かりましたので、内定を取り消したいのですが、内定を取り消してもよいでしょうか。

A(弁護士の回答)
内定を取り消すにあたっては、解雇における解雇権濫用法理とほぼ同様の規制に服することになります。

選考の段階から明らかな事由や、選考過程で調査ができる事由で内定を取り消すことは適法とは認められにくいといえます。しかし、ご質問の「経歴詐称」については、その経歴が選考段階で重要なものであり、かつ、経歴詐称の発覚によって従業員としての不適格性等が明らかになったといえる場合には、内定取消事由として認められやすいといえます。

浦和セントラル法律事務所
弁護士 坂根 洋平

Q&A:採用時の留意点を教えてください

2023-05-06

Q(社長の質問)

従業員を初めて採用します。とくにどのような点に気を付けたらよいでしょうか。

A(弁護士の回答)

従業員を採用する際の法律上のトラブルとして、企業してから間もない経営者の方から、「従業員と揉めています。従業員から『ハローワークの応募書類では、給料は20万円以上となっていたが、実際は15万円しかもらっていない、違法だ。』と言われてしまいました。」というご相談をお受けすることが、しばしばあります。

このようなご相談内容について深くお話しをお伺いしていくと、原因の多くが、採用前あるいは採用時の説明不足にあることがわかります。

具体的に分析すると、最終面接において内定を出す直前の段階で、賃金の詳しい話を行っているため、いざ“お金”の段階で、(概ね採用が決まったと思って双方が安心するのか、それとも、あえて経営者の方が明言しなかったのか、原因はまちまちですが、)双方が確認を怠ることがたびたびあるようです。

応募者(従業員)の方は、20万円以上となっているから少なくとも20万円は支給されるはずだ、と当然信じます。一方、雇用する側(経営者)の方は、とりあえず採用してみて満足できれば予定どおりの給料(20万円)を支払うが、期待どおりでなければ15万円ほどで構わないであろう、という気持ちがあるようです。このような意思の不一致が、入社してから暫く経過してからの賃金トラブルの原因となります。

労働基準法では、採用の際に、賃金・労働時間等の労働条件は書面で明示することになっています。面接や入社前の段階で、双方が労働条件を確認して書面にすることが大切です。無用なトラブル、誤解をなくすために、経営者の方は、「このぐらいは説明しなくても構わないであろう」といった対応ではなく、法令の内容にしたがって書面を作成し、従業員の方にしっかりと労働条件を説明しましょう。

当事務所では、「争いを未然に防ぐ」という観点から、経営者の方向けに、顧問業務を通じて、さまざまな法的アドバイスを行っております。

浦和セントラル法律事務所
弁護士 坂根 洋平

Q&A:給料から損害賠償金を天引きしてもよいか

2023-03-18

Q(社長の質問)

当社は運送業を行っているのですが、従業員(ドライバー)が物損事故を起こし、車の修理代に20万円ほどかかりました。何度も事故を起こしているので、今度支払う給料は、修理代を差し引いて支払おうと考えているのですが、問題はないでしょうか。

A(弁護士の回答)

原則として、従業員に支払う賃金から損害賠償金を差し引いて支払うことは違法です。
したがって、賃金を全額支払った上で、できる限り、従業員本人の生活に支障を来さない範囲で分割払いをしてもらうなどの方法で、別途、弁償を求めましょう。

以下、理由を述べます。

賃金は、原則として、その全額を支払わなければなりません(労働基準法24条。これを「賃金全額払の原則」といいます)

「賃金全額払の原則」の趣旨は、生活の基盤たる賃金を労働者に確実に受領させるという点にありますが、使用者が労働者に対して債権を有する場合に相殺を行うことは、原則として、賃金全額払の原則から禁止されています

例外的に、使用者が労働者と合意しその合意により相殺を行うことが許容される場合もあります。
しかし、その合意の有効性は、裁判上では厳格かつ慎重に判断され、使用者側にとって厳しい結論が出ることが多いため、賃金は全額支払うのが望ましい対応です。

浦和セントラル法律事務所
弁護士 坂根 洋平

Q&A:試用期間中の社員に対し本採用拒否できるか

2023-02-26

Q(社長の質問)

試用期間中の社員がいます。当社の業務に付いていけておらず適性がないと思われるので、本採用を拒否したいのですが、本採用拒否してもよいのでしょうか。

A(弁護士の回答)

その社員が試用期間中であるからといって、自由に、本採用を拒否することはできません

以下、理由を述べます。

一般的に、試用期間中の労働者と使用者との関係については、「正社員同様、期限の定めのない労働契約がすでに締結されているが、一定の場合には労働契約を解約する権利が使用者に留保されている(解約権留保付の労働契約)」と解されるのが通常です。

したがって、試用期間中の社員に対し本採用を拒否することは、留保された解約権の行使、いいかえれば、解雇の一種ということになりますので、その許容性には、通常の解雇とほぼ同様の制約がかかると考えた方がよいということになります。

裁判例では、試用期間中の社員に対し、本採用を拒否するには、試用期間を設けた趣旨・目的に照らし、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と認められることが必要であるなどと示されています。

具体的には、採用決定後に職務経歴書に虚偽の内容が含まれている場合や、試用期間中の勤務状態等により、当初知ることができないほどの事実(協調性や適性が著しく欠如しているなど)が発覚した場合などに、本採用を拒否することが許容されます。

裁判例を見るに、本採用拒否の場合、通常の解雇よりは、やや広い範囲の自由が認められる傾向にありますが、それでも、使用者側にとっては厳しい判断がなされる事案が多いといえます。

以上のように、試用期間中の社員に対し本採用を拒否するには、法律上の問題点を含みますので、弁護士等の専門家にご相談の上、裁判例等を踏まえて的確に対処することが必要です。

浦和セントラル法律事務所
弁護士 坂根 洋平

Q &A:就業規則を作成しなければならないか

2023-02-13

Q(社長の質問)

当社は、従業員15名程度の小さな会社です。就業規則を作成しなければならないのでしょうか。

A(弁護士の回答)

就業規則の作成について、労働基準法第89条は、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、・・・就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」と規定しています。
したがって、従業員15名程度の会社であっても、就業規則を作成することは、法律上の義務です。
仮に、この義務に違反すると、30万円以下の罰金が科せられることがあります。
労働基準法第89条のいう「労働者」とは、職務内容や雇用形態の種類を問いません。会社に使用され(雇用され)、賃金の支払いを受ける者すべてを指します。

一方で、従業員10名未満の会社では、就業規則の作成義務はありません。
しかし、法律上の作成義務のない会社であっても、会社のルールを明確することに数多くのメリットがありますので、労働者を雇用する会社は、就業規則を作成しておいた方がいいと思います。

浦和セントラル法律事務所
弁護士 坂根 洋平

お知らせ:企業法務サイトを公開しました

2023-02-10


当事務所は、主として中小企業の皆様向けの法務に力を入れています。
中小企業の皆様への情報発信を目的として、本サイトを立ち上げ、公開しました。
今後、本サイトを通じて、さまざまな情報を発信していきます。

どうぞよろしくお願い致します。

浦和セントラル法律事務所
弁護士 坂根 洋平

Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0488299352 お問い合わせバナー 無料相談について